滑舌、発声と改善し、肩こり腰痛、咬み合せの専門ページのタイトル画像


安藤メソッドによる「かみ合わせ治療」について

安藤メソッドによる「かみ合わせ治療」は当院の院長Dr.安藤が約25年ほど前から研究、臨床を重ねてきた治療法です。
もともとは、インプラントや審美治療を専門とした現代歯科医療を提供する歯科医師でしたが、1989年から歯科医療ではまだ完全に解明しきれていない“かみ合わせ治療”の領域に踏み込み、肩こりや腰痛、その他不定愁訴改善の独自の治療法として「安藤メソッド」が確立いたしました。この治療では臨床を始めて25年で約1000人を超える方々の治療に携わってきました。

また、歯科から全身への治療を継続してきた中で、今度は「安藤メソッド」が、“声”を職業とする方々の、声の悩みの解消にも役立つことが分かってきたのです。その結果2004年には、「歯と音声の研究会」を立ち上げ、本格的に「歯と声」の研究が始まり、その後多くの声のプロフェッショナルの皆さんの悩みを改善するお手伝いもできました。
しかし、もとはと言えばこれらのことはすべて「患者さんの声」がきっかけとなって始まっていたのです。


① 「かみ合わせ」不全は見過ごされてきた現代病

現代病とは、読んで字のごとく、昔は存在しなかった病気で、今の時代を生きる現代人にだけ起こる病気のことをいいます。では、“かみ合わせ”のどこが現代病なのでしょうか?まずは、そこからお話しをしていきます。

人類が生まれて以来、50万年は常に飢餓との戦いでした。その人類の歴史の中で、この50年だけは、史上初の飽食の時代となっています。

その結果、各分野にさまざまな影響が出ています。そのひとつが栄養過多。その例として、ここ50年間の日本人の成年男子の身長で見てみましょう。31歳成年男子でみると、この50年で平均身長は、160cmから172cmに伸びています。これは、数値で表すと1.08倍であり、“栄養過多”がもたらした変化のひとつです。この変化には、遺伝はほとんど関係していません。

さて、栄養により日本人の身長が伸びたのは喜ばしいことですが、“歯”に関してはどうでしょうか。実は、人間の歯は、赤ちゃんがまだ生まれていない胎生期6週間~8週間で乳歯が発生します。
胎生20週ぐらいからは、今度は永久歯が発生するといわれているので、その後、生まれてからどれだけ栄養を摂取したかで、歯の質・大きさが決まることになります。だから「歯の大きさ」は、“後天的”といえるのです。

では、現代人の歯の大きさは、どれぐらいになっているのでしょうか?これに関しては、きちんとした数値がありませんが(昔のデータが改訂により消滅)、解剖で使うシェーデル(骸骨模型)と現代人の歯を比べると、やっぱり1.08倍以上の差があることが確認できます。やはり、骸骨になっている昔の人の歯は小さくて、現代人の歯はすごく大きいのです。そう、今の人には、まるでビーバーのような前歯が多いのです。そして、もし現代の歯の大きさが本当に1.08倍になっているのなら、それぞれの歯を1.08分の1のサイズまで小さくしてあげないといけないのです。そうでなければ、口の中でそれぞれの歯が邪魔をし合うことになるからです。けれども、私の場合は、あまり削ると沁みてくるので、必要最低限度の調整でとどめています。


② 大きくなった歯と比べて、アゴはより小さくなった

さて、この50年で歯は大きくなりましたが、一方で、歯が並ぶ土手(アゴの骨)の大きさはどうなったでしょうか?ご存知の方も多いと思いますが、実は、現代人の顎の方は小さくなっているのです。それも、ただ小さいだけでなく、イヌ科のように、アーチが細長く変化してきています 。
V字型アーチとU字型アーチ なぜでしょう?

それは、現代人が昔に比べてかまなくなったからです。かまないと、アゴが発達せず、タテ長のアーチになってしまうのです。

卑弥呼の時代、ヒトは1回の食事に、約3000回の咀嚼をし、食事時間は、約57分もの長い時間をかけていたといわれています。ところが、これが江戸時代になると、サムライが伝統的な日本食を食べた場合、かむ回数が約1400回に減り、食事時間は27分と短くなっています。

では現代人はどうでしょうか?スパゲッティやカレーを食べるときには、約600~700回の咀嚼が行なわれます。そして、その食事時間は、なんと7分という短さになってしまいました。

先ほども申しました通り、かむ回数が少ないと、筋肉で引っ張られる力が弱くなり、アゴが大きく発達しないためイヌ科のような細いアゴとなり、舌のお部屋(舌房)がどんどんせまくなってしまいます。


③ 舌の部屋(舌房)が小さくなると何が起きる?

それでは、歯が大きくなり、なおかつアゴの骨が小さくなったら、ヒトは一体どうなるのでしょうか?

まず最初に申し上げておきたいのは、“下のアゴと上のアゴはくっついてない”という事実です。
実は、下のアゴは、咀嚼筋群という、4つのかむ筋肉でつりさげられているだけで、上アゴとつながってはいないのです。そして、上のアゴは頭のホネ(頭蓋骨)と一体化しているために動きません。一方で、下のアゴは、筋肉でつながっているだけなので、ブランブランとしています。写真は本物のガイコツですが、ご覧のように下のアゴはバネでつながっていますので、どちらにでも動くのです。

ところで今、皆さんは、私の文章を読むのに、歯を食いしばっていますか?どちらかというと、歯はかみ合わせずに、少し開いた状態になってはいないでしょうか。この状態を“安静位空隙”と呼び、世界平均で約2ミリ開いています。つまり、上下のアゴの位置は、かんでないときは、“歯では決まらない”のです。

では下アゴの位置は何で決まるのでしょうか?
実は、“舌”の位置で決まるのです。

もし、左の歯が大きくて、しかも尖っていたとするならば、舌は左の歯をいやがって、右に避難します。すると、下のアゴも一緒に右にずれるのです。
ずれる
さらに悪いことには、前章で述べたように、舌のお部屋(舌房)は、歯が大きくなり、アゴは小さくなって、どんどん狭くなっているのが現代人。口内に“歯の尖り”がたくさんある人は、舌の居場所がなく、いつも舌が緊張していることになります。

例えるなら、もともとは舌の部屋(舌房)の大きさは、部屋の広さで言うと3LDKあったものが、歯が大きくなってしまった為に、2LDKとなり、さらには、アゴが小さくなった為に、1LDKにまで小さくなってしまった。そして、歯が尖り、ナイフのようになったことに関しては、例えると、トイレのドアを開けたら、ナイフを持った知らない男が立っている、みたいなもの。要するに、トイレはあるのだけれど、怖くて使えない、というわけです。

では、なぜ舌が逃げなければならないのか? やはり、恐ろしくて、逃げざるを得ないのです。次はこれについてお話ししましょう。


④ 下のアゴは、“舌”が原因でずれている

「歯が尖ると、なぜ舌が逃げなければならないのか?」ということを説明いたしましょう。

あまり知られていませんが、舌の癌の原因の99%以上が、刺激によるものです。そして、その刺激には、①化学的刺激と②物理的刺激の2つがあります。
まず、①の化学的刺激とは、簡単にいうと、お酒とタバコが原因です。そして、②の物理的刺激とは、“舌がこすられる、摩擦を受けること”であり、この刺激によって、癌が起こる可能性が生じてしまうのです。

それが嫌で、舌は常に歯の尖りから逃げようとするのです。

もし、あなたの左右の奥歯が大きくて、なおかつ尖っていたとしたら、あなたの舌はどうなるでしょうか?かなり前に流行った言葉ですが、若い女の子が胸を両脇から締めつけるように強調したポーズを作って、「だっちゅーの!」と言うのがありましたね。いってみれば、舌は緊張して、まさにこのような状態になっているのです。

治療をした後、患者さんたちが皆、口を揃えて「私の舌は、こんなに緊張していたんですね」とおっしゃいます。ほとんどの方の舌が、口の中で、それぐらい緊張状態にあるのです。

私の治療は、まず“舌と頬粘膜のストレスを取る”ことから始まります。基本的に、かみ合わせの高さ自体を変えなくても、“舌”と“頬の内側(頬粘膜といいます)”の恐怖を取ってあげるだけで、かむ音が変わってきます。この調整で、実に気持ちのいい高くて大きな音が出るようになるのですが、これはかみ合わせ調整をする前に起こる現象なので、皆さん例外なく不思議そうな顔をしています。つまり、これこそが「下顎の位置を決めているのは舌である」という証明であり動かぬ証拠なのです。

牙道庵によるかみ合わせ治療では、まず舌と頬粘膜の恐怖を除去し、下顎のズレを無くしてから、かみ合わせの調整に移ります。その調整量は、わずか0.1ミリ程度で、髪の毛1本分です。

それにしても、なぜこんなにわずかな調整量で、大きな変化があるのでしょうか?

実は、人間の身体は、自分で調整しようとする力が働くので、その程度の調整量で済むのです。そして、歯にも同じことがいえるのです。ただし、歯医者さんが作った人工のかぶせ物やさし歯は別。ほぼ例外なく、大きくずれているので、調整量も多くなります。その理由については、また後で説明しましょう。

また、皆さんの中には、虫歯でもない歯を削ることに、抵抗がある方もいらっしゃるようですが、調整後はピカピカに研磨し、元通りの状態になるので問題ありません。


⑤ 親知らずは、百害あって一利なし

次は、“親知らず”について述べます。歯科医の中には、「親知らずを残せ」という人がいますが、これは歯が抜けた時のための、“予備のストック“という意味合いでの話で、「かみ合わせ」という点を考慮していません。かみ合わせの観点からみると、親知らずは実に厄介な存在なのです。

以下に、その理由を列挙してみます。

①土手(アゴの骨)がもともと小さいのに、親知らずが生えるスペースがない
②親知らずが無理やり出て来れずに埋まっている場合、虫歯や歯周病、他の炎症にもなりやすい
③萌出する力で、歯のアーチを崩してしまう

そして、最も大きなポイントとして、親知らずがあることで④かみ合わせが崩れてしまうことが問題になるのです。

基本的には、他に歯がないのならともかく、他の歯が揃っているのならば、親知らずは抜くべきです。出来れば、20代で抜いておくと、後で大変な思いをしなくてすむでしょう。けれども、親知らずが完全に横になって骨の中に埋まっている場合は、そのままにしておいてもいい場合もありますから、ケースバイケースと言えるかもしれません。



⑥ 歯科治療が、かみ合わせを狂わせているという事実

今までお話ししてきたように、たとえ天然歯でも、現代人の歯が大きくなってしまっていることを考慮すると、決して完璧ではないのです。しかし、歯を作る技工士たちは、「天然歯をお手本に作るように」とずっと教え込まれてきました。

もし、彼らが天然歯と同じ大きさに作ってしまったならば、舌はどう反応するでしょうか?

もちろん、舌はさらに嫌がります。なぜならば、自分の歯ではなく、異物が入るわけですから、こちらの方がさらに害がある訳です。

やはり、人工の技工物(かぶせもの、つめもの、さし歯他)は、小さく、舌の邪魔にならないような形で製作するのがベストです。

また、かみ合わせは、かぶせ物やつめ物をセットすることでも、崩れてしまいます。これは、治療上致し方ないのですが、①セットの時にギューっと噛んでもらう、②歯と歯の間をきつくしてセットすることにより、問題を引き起こしてもいます。

我々歯科医師が、さし歯やかぶせ物をセット時に一番怖いのは、セットした物が接着セメントの反発で浮き上がることです。一度セットしてしまえば、再度除去することは通常考えられず、また、浮き上がってしまったら、そこから虫歯になる危険もあります。そこで、セット時には、「親の敵のように噛んでください」と声をかけるのですが、その反動で、歯が高くなってしまうのです。ギューっと押しこんだ反動で、反発して、逆に出てくるのです。

②の「歯と歯の間をきつくしてセットする」も同様です。歯間をゆるくしてしまうと、お肉や野菜が、歯と歯の間にはさまってしまうので、避けなければなりません。そこで、適正な範囲内できつくするのですが、これによってまわりの歯が大幅に動いてしまうのです。

どちらも歯科医療にとっては必要なことですが、これらによってセット後に歯が動き、かみ合わせを狂わせるのですから、悩ましいのです。そして、これに対処するには、セットした後に、もう一度かみ合わせを調整する機会を持つことが大切。けれども、ほとんどの歯科医師が、このことに気づいていないために、セットが完璧に行なわれたとしても、時間が経つと、かみ合わせが大幅にずれてしまうのです。


⑦ 歯科治療が、かみ合わせを狂わせているという事実

歯の歯ぐきから出ている部分は、外側から、エナメル質、象牙質、歯髄(神経)の3層からなっています。
エナメル質、象牙質、歯髄(神経)

その中で、エナメル質だけは神経がありません。エナメル質は、96%が無機質で、モース硬度の6か7と言われていますから、ナイフでも傷がつかない硬さで、人体では一番硬い組織です。その厚さは2ミリ程度あり、その範囲なら削っても痛くない場合がほとんどなのです。実際に歯科矯正では、歯と歯の間をかなり削りますし、江戸時代の侍のように、1回の食事で1600回程度噛んでいれば、歯は自然に擦り減ってくるものなのです。

言い換えれば、私の調整は、自然に擦り減るはずのことが現代はできていないので、その代りに人工的に摩耗させている、と言えばいいでしょうか。

いずれにせよ、調整で削る歯の量はほんのわずかなので、まったく問題はなりません